引き戸の作り方・扉よりも難しい

引き戸の模型を作った。基本的な構造を理解するまで大変で、数回か失敗した。引き戸が動かない、動くけど外せない、とか。

左図は、高さ20センチ、幅15センチの引き戸モデル。以下、分かったこと。

・木を彫った溝にスライトヂさせると摩擦が生じてつっかえる。木目に沿った彫り方をしたほうがいい。

・溝を彫ったら、同じ幅のプラ棒で、無溝の幅が途中で狭くなっていないか、確かめた方がいい。

・溝と同じ巾のビットがあるといい。一発で幅を彫れる。言い方を変えると、ビットの外径になるように溝を彫る。

・ビットの幅が小さいなら、トリマー用ガイドで右回りに溝の範囲を彫っていく。

・引き戸の戸は欠く量が2枚とも同じなので、マスキングテープで2枚の板を貼り合わせ、1枚の板に見立てて、削ると楽。

【テクニックとして】

・上枠の彫り込みと、引き戸の上の欠く深さは同じ。
・下枠の彫り込みと、引き戸の下の欠く深さは、1ミリ違い。引き戸の方が1ミリ深く彫る

・引き戸の前後で、彫り方は同じ。深さ、幅も同じ。
・木枠の下側で、彫る深さ、彫る幅は前後ともに同じ。
・木枠の上側で、彫る深さ、彫る幅は前後ともに同じ。

・引き戸が入る下枠の溝のあいだは、4ミリ残す。その4ミリの上に乗る(正確には、1ミリ間隔がある)引き戸は、4ミリより、0.5ミリ浅く欠く。つまり、3.5ミリ。

・下枠に彫る溝の幅は、引き戸の接触面より、0.5ミリ幅を広く彫る。

・手前の溝は、木枠から5ミリ奥へ入った位置へ彫る


 引き戸1枚の厚みが、9ミリの場合。下枠の溝同士の間隔に、4ミリ残したいので、3.5ミリを引き戸の後ろから欠く。9-3.5=5.5ミリが下枠に接触する幅になる。下枠に彫る溝は、0.5ミリ広くして、6ミリを彫ることになる。 → 6ミリのビットを使う。

例 一度に彫れるビットの幅から、引き戸の厚みを求める。
 8ミリのビット → 引き戸の接触面はも7.5ミリ → 溝どうしの間隔は、4ミリ → この4ミリの上に乗る、引き戸の厚みが、3.5ミリ。引き戸1枚の厚みは、7.5+3.5=11ミリとなる

・引き戸を設計する時の優先すべき考え方
 1.引き戸どうしの間には、1ミリの隙間を作る。
 2.溝どうしのあいだは、4ミリとする
 3.4ミリの上にある引き戸は、3.5ミリ幅
 4.下の掛かり代は3ミリ。下溝の深さは、3ミリ。引き戸の下の彫り込みは、4ミリ
 5.上の掛かり代は5ミリ。引き戸の上の彫り込みは、10ミリ。上溝の深さは10ミリ。
 6.彫るべき溝の幅は、接触する引き戸の幅より、0.5ミリ広くする

・精度を要求されないジグや、精度を要求されない部分は、板の種類、厚み、ネジの長さ等は異なってもいい。